三宮観光

遠方より弟来る。亦よろこばしからずや。手短に久闊を叙する。真っ先に大丸でシステム手帳を、ついでにラルフへ向かい、ネクタイを買い求める。無論私のものである。夕食はトゥーストゥース。無論弟のおごりである。このままではマズイと思いながら居留地の通りを闊歩していた。すると前方から老紳士が女性を連れてやってきた。何処ででも見かけるありふれた情景にはちがいないが、私はぼんやりとその男の顔を眺めていた。『はて、何処かで見たことのあるphysionomie、いや、顔だな・・・』眼の目にそのカップルが接近したその瞬間、『あ!筒井康隆だ。』と気が付いた。傍らには女優の風吹ジュンがいた。就職活動のため神戸・大阪にやってきた弟に何とか手土産を持たすことができたことを誇りに思い、『弟よ、見たかい?今の人たちを』と問いかけた。弟は始終、大都会の高層ビルを飽くことなく見上げていたと思いきや、ただ黙々と歩いていた。寡黙な奴だな。そんなにこれから夜景の美しい大学の友人たちに会い、「全然似てないね」って言われるのが嫌なのか?仕方ないさ、お前がサッカー日本代表の高原だとしたら、おれは髪を切ったヨン様なのだから。
■22:58 おいコラ、誰が勝手に『デス・ノート』(ジャンプ連載)を読めと言った。ねられんくなるよ。