13時ごろ大学で雑務を済ませた後、あの破廉恥サークル<Sフリー代表の和田>似の先輩に誘われて大阪港の海遊館へ、そう、なぜかオス二匹が水族館へ向かったのでした!GWの真っ只中、周囲は無論純粋な、つまり、哺乳類ヒト科として理想的かつ<政治的に正しいカップルや家族連れで賑わっていた。到着した瞬間、ビミョーに距離を取ったり、「こっちじゃない?」『いや、こっちこっち』などという何気ない会話がひじょーにお互い不快なわけで、館内で大好きなペンギンを発見し、「ねぇみてみてカワイイっ!・・・」と奇声を発しそうになるのも何とかこらえたりと何かと神経を使い、疲労困憊。『パパっ!ペンギンペンギンペンギンペンギンペンギン』と連呼しながら僕のジャケットを引っ張るのはやめろとあれほど山口県立美術館(ピカソ展)で言ったじゃないかっ!

 ペンギンよ、お前は偉大だ。その一挙手一投足がたまらなく愛らしい。しかも、時にお前は人間の好奇の眼差しを抗うようにして、人間しか持ち得ないはずの「自我」を垣間見せてくれるのだから。
 僕はじっとペンギンの集団を見つめる。彼らは同じ方向を向き頭上から降り続ける氷のつぶてを浴び微動だにしない。そのとき一匹のペンギンが突如、水中へと飛び込んだ。その雄雄しい姿に僕は瞠目する。ペンギンは水中を<泳ぐ>のではなく、<羽ばたく>のだということをこのとき知った。するとどうだろう、ほかのペンギンたちも団結して次々と水中へ羽ばたいていく。ときに跳躍するかのようにわずかに勢いをつけて急降下していくペンギンもいる。
 ところが、しばらく陸上にから姿を消していくペンギンの集団に見とれていると、ほかの者たちに追随することなく陸地に踏みとどまり、そそくさと踵を返し、ふたたびもとの場所で氷を浴び始めたペンギンが現れたのだった。このペンギンは何を思ったのだろうか。おそらく眼下に広がる水面までの距離を見、あるいは水温を予測し、あるいは餌の有無を考慮し『水中は危険だ』ととっさに判断したにちがいない!彼は団結や連帯や強調を拒絶し、個を、自由を選択した!ああ、ペンギンよ!お前には自我がある。隣のトドはただ無為徒食に甘んじ、こちらに愛嬌を振舞うことさえも<怠り>、醜く肥えていくだけだ。ペンギンよ、ふたたび言おう、「お前には自我がある」その不器用な足取りは熟慮の証!