週末のテニス

なかかな日記を書き続けるのは難しいのね。だんだん短く、だんだん雑多な内容になっていく。かかなあかん、という変な強迫観念まででてきた。さてと今日は何をしたかしら。16時くらいまではダラダラと図書館でバンヴェニストの論文を読み、どうやってレジュメしようかな〜と苦悩する。彼が小説で言語論を書いてくれてたら奮起するのにさ。読めるフランス語とそうでないフランス語があるのさ。
 テニス部の同期の仲間から電話があり、すぐさまコートに呼び出される。手前はラケットもやる気もないため審判台の上から熱戦を観戦しながら、彼らの若さをうらやむ。(プレイしないなら、別に来る必要ないじゃん。)引退して久しい。かつてのように真剣な面持ちは失せ、一球入魂の気迫は今思うと失笑を禁じ得ない。しかし、やはり、彼らはうまい。インカレという全国区の大会で戦績を残しチームを全国4位まで導いたプレイは「上手だね」のレベルではない。テニスがまるで卓球のように見える。観ていると「あ、そうすればいいのね。な〜んだ」と無邪気に感じる程だ。彼らはどんなに気を抜いても、決してしてはいけないミスを絶対に犯さない。どんなに調子が狂っても最低限度のプレイをすることで試合にはなる。勝てる相手と勝てない相手、そんなせこくてネガティブな区別などしない。現役時代、完膚なきまでにやられて手も足も出ない試合など観たことがなかった。セミプロ。彼らは限りなくプロに近く、プロ選手と接戦にもつれ込み、勝ったものまでいる。テニスという、野球やサッカーといったメジャーなスポーツに比べ競技人口のうんと限られた、ときに「上流階級のスポーツ」と揶揄されるお上品なマイナーなスポーツに彼らは十年以上身を捧げてきたのだ。しかし、その限られた狭い世界で勝ち、生き残り、名を成し、食べていく人間は極めて少ない。どこかで誰かがやっていて、束ねれば数になる。皇帝の如く君臨する強者がいる。華麗なプレイスタイルで観衆を魅惑する名手がいる。そこそこ勝ち侮れないといわれる中堅の選手がいる。どうしようもないほど弱いけれど、強豪チームという威光を傘にちまちまとプレイする哀れな一選手がいる。
・・・お前のやってるフランス文学とやらは、無学文盲と少なからず侮蔑していた彼らのやってるテニスとどう違うのかね?お前さんは余暇に楽しむことすらできんのとちゃうか?と夕闇の審判台の上から、身を震わせながら、ふとそんなことを思った。

追記。僕の空腹を満たしてくれたみんなどうもありがとう。今度はデザートもつけてね。鱈をタラと読めなかった*君、お前やっぱ無知やわ。